風の舞
〜闇を開く光の詩〜
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                   塔和子さん

 劇中で使用させていただきました詩をご紹介いたします。

塔 和子 詩集 NO.2


「季節の端」

 偏見と差別の            

 闇の中からしか

 この強靭な団結は
 
 生れなかった

どこにも出口のない

 地獄でしか

あのらい予防法という

悪い風の音を消す運動を

形にすることはできなかった

凍るような心の洞穴とひきかえに

私が手にしたもの

それはらいが癒えるようになったということ

鬼の涙のように

もゆるもの

冴え透った光

それなしにあり得ない私

 鬼よりあらい息をして

 人権無視の悪法にたちむかう

 日暮れて道遠しとか

 季節の端にたっている

 この熱いものたち



「鯛」

 それは

活き作りの鯛

 ぴいんと

いせいよく尾鰭を上げて

祝いのテーブルの上で

悠然と在りながら

その身は

切られ 切られて

ぴくぴくと痛んでいる

人々は笑いさざめきながら

美しい手で

ひと切れ ひと切れ

それを口へとはこんでいる

やがて 宴が終わるころ

すっかり身をそがれた鯛は

すべての痛みから

解放されて

ぎらぎらと光る目玉と

清々しい白い骨だけになり

人々の関心の外で

ほんとうに鯛であることの孤独を

生きはじめる



                             



                       

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