生きることの喜び、希望、そして人間の尊厳とは何か
― 瀬戸内海の小さな島から、詩人・塔 和子が問いかける
ハンセン病強制隔離の悲しみと怒り―
《ストーリー》
12歳で発病し、13歳で瀬戸内海の離島ハンセン病国立療養所「大島青松園」に強制的に
送られてきた塔和子さんは、今日までの57年間を、療養所という社会から切り離された囲いの中で厳しい生活から目をそらすことなく、生きることの叫びを詩に託し、詩作を命の糧に、病苦と絶望の闇をきり拓いてきた。
それらの詩の数々は『療養所』という狭い世界を越え、人間存在の根本に触れる魂の叫びとなって、読む人に強い感動を与えている。塔さんの15冊目の詩集「記憶の川で」では、詩作の世界でも権威ある賞とされている高見
順 賞を受け社会的にも高い評価を得ている。
自己の存在を見つめながら、人間の尊厳を問い、懸命に生きている塔和子さんの日常と、同じ療養所で暮らす人々にカメラを向け、ハンセン病強制隔離の背景に迫ると共に、踏みにじられた人間の尊厳への怒り、人が人として生きることへの意味、いのちの重みを、瀬戸内海の小島の美しい映像と静かな語りの中で訴えていく。
詩の朗読 吉永小百合
ナレーション 寺田農
監督 宮崎信恵
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